発売日:
2017年12月8日
レーベル:
A&M - UMe
プロデュース:
リチャード・カーペンター
カーペンターズは、その美しいハーモニーとメロディアスな楽曲で70年代を代表するアーティストの一つです。2017年に発表された『The Vinyl Collection』は、そんな彼らの音楽を再びアナログレコードで愉しむことができる素晴らしいセットです。ここでは、このコレクションの魅力と特徴について詳しくご紹介します。
『The Vinyl Collection』には、カーペンターズがレコードとしてリリースした全オリジナルアルバムと1973年にリリースされたベストアルバム『シングルス 1969 - 1973』が収録されています。このコレクションには、彼らの音楽史を代表する名作がすべて詰まっており、ファンにとっては貴重なアイテムとなっています。
『The Vinyl Collection』では、各アルバムのジャケットがオリジナルを忠実に再現されています。デザインだけでなく、紙質やインナースリーヴ、レコードのレーベル面まですべてオリジナルに忠実に再現されており、当時の雰囲気をそのまま愉しむことができます。
ただし、初期のインナースリーヴには広告として他のアーティストのアルバムなどが紹介されていましたが、今回は真っ白なスリーヴが採用されています。この点に関しては、当時の雰囲気を完全に再現することはできなかったものの、コレクションとしてより洗練されたとも言えるでしょう。
このコレクションには、カーペンターズの幻のファーストアルバム『オファリング(Offering)』は含まれておらず、同じ内容でタイトルが変更された『涙の乗車券(Ticket To Ride)』が収録されています。そのため、オリジナルのタイトルにこだわりがあるファンにとっては少し残念かもしれません。
ただし、このボックスセットはレコードなのでジャケットそのものの存在感がCDと比べて格段に高いため、多くのファンにとってはマイナスとはならないでしょう。
この作品のリマスター音源は、ロン・マクマスターによってキャピトル・スタジオで制作されました。ロン・マクマスターは、ビーチボーイズやドン・マクリーンなどを担当した実力派のエンジニアであり、彼の手によってカーペンターズの名作たちは新たな輝きを放っています。そのため、オリジナルの音質を保ちながらも、よりクリアで豊かなサウンドを愉しむことができます。
セットの内容はとてもシンプルで、オリジナルのレコードに付いていたブックレット以外の特典は一切ありません。余計な装飾を省き、化粧箱にスッキリと収められたデザインで、純粋にカーペンターズの音楽を楽しめるよう工夫されています。
このコレクションには、カーペンターズが1978年にリリースした『クリスマス・ポートレイト(Christmas Portrait)』と1984年にリリースした『オールド・ファッションド・クリスマス(An Old-Fashioned Christmas)』は含まれていません。
これらのクリスマス・アルバムが含まれなかった1番の原因は『クリスマス・ポートレイト』のマスター音源を修復することが不可能だったことと、製造する際のコスト面からと思われます。これは2003年に35周年記念ボックスをリリースした際、『クリスマス・ポートレイト(Christmas Portrait)』のマスター音源を修復することが当時の技術では不可能だったため1996年のリミックス音源を採用したことから、この説が濃厚であるといえます。
このボックスセットには、カーペンターズのオリジナルアルバムと、カレンが存命中にアメリカで唯一リリースされたコンピレーションアルバムが収録されています。さらに、180グラムの重量盤レコードという仕様で、アナログレコードが注目されている2010年代にぴったりなアイテムとして話題になりました。
しかし、音質については一部のファンから賛否が分かれたようです。そのため、このボックスセットは音質よりも見た目やパッケージの魅力を愉しむために購入された人が多かったのかもしれません。特に、オリジナルのアルバムジャケットが忠実に再現されている点は若い世代の間でも注目を集め、「レコードプレイヤーは持っていないけれど、ジャケットを飾りたい!」という声も聞かれました。コレクターズアイテムとしての評価が高いのは、こうしたデザインのこだわりがあったからと言えるでしょう。
レコード盤を通じて愉しむカーペンターズの音楽は、まさに当時の空気感をそのまま味わえる特別な体験です。このコレクションでは、オリジナルアルバムのアートワークやインナースリーヴが忠実に再現され、まるで1970年代にタイムスリップしたかのような気分に浸れます。音質は細部まで磨き上げられ、当時の温かみを残しつつ、より鮮明に楽しめる仕上がりとなっています。
さらに、レコード盤ならではの儀式的な要素も愉しみの一つです。針を落とす瞬間の期待感、音の広がりを感じながらじっくりとアルバムを聴き込むことができるのは、CDやストリーミングでは味わえない魅力です。このような体験を通じて、カーペンターズの音楽が持つ豊かな世界観をより深く感じることができ、音楽そのものが持つ力強い魅力を再確認できるでしょう。
また、レコード盤に付属するブックレットやアートワークも、当時の文化やカーペンターズの歴史を感じさせる重要なアイテムです。ジャケットのデザインや写真、歌詞カードの細かなレイアウトなどが、その時代の美学や雰囲気を反映しており、音楽だけでなく視覚的にも愉しむことができます。このように、レコード盤を通じて聴くカーペンターズの音楽は、単なる音楽の再生に留まらず、時代を越えた感動を呼び起こす特別な体験なのです。
デビュー作『オファリング(Offering)』を改題し、ヒット曲を前面に打ち出した新装盤。シンプルながらも奥深い、初期カーペンターズの瑞々しいポップ・センスが光るエッセンシャル・ピース。
不朽の名曲「遥かなる影」を収録。バート・バカラックとの出会い、そしてリチャードの緻密なアレンジが結実し、彼らを一夜にして世界のトップスターへと押し上げた金字塔。
「雨の日と月曜日は」「スーパースター」など、切なさが溢れる名曲が並ぶ。カレンの憂いを含んだヴォーカルが、私たちの孤独を優しく包み込む初期の名作。
「トップ・オブ・ザ・ワールド」「小さな愛の願い」収録。リチャードのプロデューサーとしての手腕が冴え渡り、カレンの歌声が最も美しく響く、70年代ポップスの最高傑作。
「イエスタデイ・ワンス・モア」を軸に、古き良きオールディーズへの愛を綴ったコンセプト・アルバム。ラジオから流れる思い出のように、温かくて少し切ない、永遠のスタンダード。
「プリーズ・ミスター・ポストマン」の快活さと、繊細なバラードが同居。多重録音の技術が頂点に達し、カーペンターズ・サウンドが最も贅沢に、そして緻密に構築された傑作。
表題曲をはじめとする優美なカバーが心地よい。カレンの歌声はより深みを増し、私たちの心にそっと寄り添うような安らぎを与えてくれる、癒しのマスターピース。
カントリー、ジャズ、そして壮大なSF組曲まで。ポップスの枠を超え、音楽性の幅を大胆に広げた意欲作。彼らの底知れぬ才能と音楽への探究心が爆発した、隠れた名盤。
80年代の幕開けと共に届けられた、カレン存命時最後のスタジオ・アルバム。磨き上げられたモダンなサウンドと、変わらぬ透明感のある歌声が、新たな希望を予感させた一枚。
ヴォイス・オブ・ザ・ハート Voice Of The Heart
カレンがこの世を去った後、リチャードの手によって完成された追悼盤。一言一言を噛みしめるように歌うカレンの歌声が、私たちの胸に深く、切なく語りかけてくる。
カレンのソロ・セッション音源を含む、貴重なアウトテイク集。彼女の新たな表現への挑戦と、リチャードの深い愛情が交差する、ファン必携のアルバム。
シングルス 1969-1973 The Singles 1969-1973
「遥かなる影」から「トップ・オブ・ザ・ワールド」まで。世界を席巻した初期のヒット・シングルを網羅。リチャード自身の手による絶妙な曲間繋ぎも光る、音楽史に燦然と輝く究極のベスト・セラー。
* 初期のインナースリーヴに掲載されていた広告は再現されていません。
村田 博幸
Hiroyuki Murata
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