初回発売日:
1976年6月11日
レーベル:
A&M
プロデュース:
リチャード・カーペンター
カーペンターズの7作目のアルバム『見つめあう恋(A Kind Of Hush)』は、1976年にリリースされました。このアルバムは、カレンとリチャード・カーペンターによる美しいハーモニーとメロディアスなサウンドが特徴的で、彼らの音楽キャリアにおいて重要な位置を占めています。本作は、ポップミュージックの枠を超えた深い感情と洗練されたアレンジメントが評価されています。
1976年にリリースされたカーペンターズの7作目のアルバム『見つめあう恋』(原題: A Kind of Hush)は、カレンとリチャードの個人的な状況が色濃く反映された作品です。アメリカでの人気が徐々に陰りを見せ始めたこの時期、カレン・カーペンターは摂食障害との闘いが本格化し、その症状がますます顕著になっていました。このアルバムの制作中、カレンの健康状態は彼女自身の精神状態にも大きな影響を与え、その結果、カレンの感情が一層深く表現された作品となりました。
『見つめあう恋(A Kind Of Hush)』は、カーペンターズ特有の洗練されたポップサウンドと深い感情表現が際立っています。リチャード・カーペンターの卓越したアレンジメントとカレン・カーペンターの心を揺さぶるボーカルが見事に融合しており、全体として一貫性のあるアルバムに仕上がっています。
『見つめあう恋(A Kind Of Hush)』のアートワークには特別なエピソードがあります。アルバムジャケットに描かれている木枠は、コンピュータによる合成ではなく実際に制作されたものであり、そこにガラスが嵌め込まれています。この木枠は、アルバムの温かみと手作り感を強調しており、視覚的にも統一感をもたらしています。また、ジャケットの表面と裏面は対象になっていて、表面にはリチャードとカレンのポートレイトが描かれていますが、裏面には彼らが見ている景色が描かれており、そこからジャケットを眺めるとリチャードとカレンの目線に立つことができるような仕掛けになっています。さらに、ジャケットの内側には斜めに配されたカーペンターズのロゴが印刷されており、細部にまでこだわりが見られます。
このアルバムは、A&Mのお膝元であるモナーク、同じくカリフォルニア州サンタマリア、インディアナ州テレホート、そしてニュージャージー州ピットマンといった、いくつかのプレス工場で製造されています。同じアルバムでありながら、こうして複数の工場が関わっている点は、発売当時の需要の大きさをそのまま映しているように感じられます。地域ごとに異なる工場でプレスすることで、全米にスムーズに行き渡る体制が整えられており、本作が広い範囲で同時に届けられていたことがうかがえます。
それぞれの工場で作られた盤には、マトリクス刻印などに細かな違いがあり、今ではそれが一つの愉しみ方にもなっています。どれが特別に優先されたというわけではなく、ほぼ同じ時期に並行して生産されていた点も、この時代のA&M作品らしい特徴です。こうしたプレス工場の違いに目を向けることで、この作品が、発売当時どれほど広く、自然な形で受け入れられていたのかが、より身近に感じられるようになります。
カーペンターズの7作目のアルバム『見つめあう恋(A Kind Of Hush)』は、カレン・カーペンターの感情が深く表現された珠玉の作品です。アルバム制作当時の彼女の健康状態や、アメリカでの人気の変化を背景に、カレンの繊細で美しいボーカルが一層輝きを放っています。このアルバムは、カーペンターズの音楽的な進化と、カレンの個人的な感情が交錯する特別な作品として、私たちに愛されています。
カーペンターズの『見つめあう恋(A Kind Of Hush)』は、その美しいメロディと感情豊かなパフォーマンスで、今後もその音楽的価値は色あせることなく、多くの人々に愛され続けることでしょう。
見つめあう恋
(1976年12位)
グーファス
(1976年56位)
青春の輝き
(1976年25位)
内側にカーペンターズロゴ、カスタムインナースリーヴ有
A&M SP4897-M3 (MR) △20973 (10)
A&M SP4898-M3 (MR) △20973-X (15)
内側にカーペンターズロゴ、カスタムインナースリーヴ有、ハイプステッカー、シュリンク有
A&M SP4897-P5
A&M SP4898-P5
* 曲目は初回盤に基づいて表記しています。
* シングル・チャートは特に記載がない限り、ビルボード・ホット100を参照しています。
村田 博幸
Hiroyuki Murata
>> プロフィールを見る