ヴォイス・オブ・ザ・ハート

Voice Of The Heart

  • 初回発売日:
    1983年10月18日

  • レーベル:
    A&M

  • プロデュース:
    リチャード・カーペンター

カレンが遺した珠玉の作品が収められた追悼アルバム

1983年に発表されたカーペンターズのアルバム『ヴォイス・オブ・ザ・ハート(Voice Of The Heart)』は、カレン・カーペンターの召天後にリリースされた感動的な作品です。このアルバムは、カーペンターズのファンにとって特別な意味を持ち、彼女が遺した珠玉のボーカル録音を収録しています。リチャード・カーペンターによるプロデュースのもと、カレンの歌声がどのように永遠に響き続けるのかを感じさせるアルバムです。

アルバムの背景

1983年2月4日、音楽界に大きな衝撃が走りました。カレン・カーペンターの突然の死。その後、彼女の遺した未発表曲を収録したアルバム『ヴォイス・オブ・ザ・ハート(Voice Of The Heart)』が発表されました。このアルバムは、カレンの死後にリリースされた最初のアルバムであり、彼女の美しい声とリチャード・カーペンターの優れたアレンジが再び聴ける貴重な作品です。ファンにとっては、カレンの声をもう一度聴くことができる感動的な作品であり、彼女の功績を讃えるための重要な一枚となっています。

アルバムの特徴

『ヴォイス・オブ・ザ・ハート(Voice Of The Heart)』は、カレンの召天後に発表されたアルバムでありながら、彼女の生前の作品と同様に高いクオリティを誇っています。カレンの声の透明感と温かさ、リチャードの巧みなアレンジが見事に融合し、ファンにとってはまさに珠玉の一枚となっています。また、このアルバムにはカレンの未発表曲が多く収録されており、彼女の音楽の多様性と深さを改めて感じることができます。

アナログ盤から感じる、この作品ならではの流れ

『ヴォイス・オブ・ザ・ハート(Voice Of The Heart)』が発売された1983年当時、A&Mでは一つの工場だけでレコードを作ることはなく、いくつかの工場で同時にプレスが行われていました。A&Mのお膝元であるモナーク系、インディアナ州にあるエレクロトサウンド(ES)系、そして同じくインディアナ州RCAの工場で作られた盤が存在します。どれも同じ正規盤で、違いは当時の製造環境がそのまま表れている、という程度のものです。

前作『メイド・イン・アメリカ(Made In America)』では見られなかったモナーク系プレスが、この作品では再び確認できる点も印象的です。『ヴォイス・オブ・ザ・ハート(Voice Of The Heart)』には1970年代に録音された音源が含まれており、その時代の流れをくむ素材が使われていることが、モナーク由来のプレスが復活した背景として自然に浮かび上がってきます。アルバムそのものが、70年代と80年代をやさしくつないでいるようにも感じられます。

また、光にかざすと青く透けて見える半透明盤が存在するのも、この作品ならではの愉しみです。RCAプレスでは中心に近づくほど青みが増し、モナーク系プレスでは全体が均一に明るく見える傾向があります。これは特別な加工ではなく、当時の素材や工程による自然な違いです。こうしたささやかな個性も含めて、このアルバムは音だけでなく、手に取ることで当時の空気をそっと伝えてくれます。

レコードに針を落とすと、カレンの歌声とともに、時代の流れが静かに寄り添ってくるように感じられます。

アナログとCDが並んでいた頃

『ヴォイス・オブ・ザ・ハート(Voice Of The Heart)』は、レコードと同時にCDでも発売された作品です。1983年にアメリカと日本でCDが登場し、翌1984年にはイギリスでもリリースされています。ちょうど音楽の聴き方が少しずつ変わり始めていた時代でした。

当時はまだレコードが中心でしたが、店頭にはCDも並び始めており、このアルバムもその流れの中にありました。盤に針を落として聴く人もいれば、新しいCDプレーヤーで再生する人もいた、そんな時代の空気が感じられます。

アナログの質感とCDのすっきりした音、その両方でカレンの歌声に出会えたことも、この作品が持つ印象をより深いものにしています。

日本でのプロモーション

このアルバムが発売された翌年の1984年、日本では特別番組「さよならカーペンターズ」がテレビで放送されました。この番組では、カリフォルニアの美しい景色と共に、リチャード自身がカーペンターズゆかりの地を紹介しました。番組の中で数々の名曲が流れる中、最後には『ヴォイス・オブ・ザ・ハート(Voice Of The Heart)』から「輝く船出(Sailing On The Tide)」が流れ、カレンへの思いを馳せる感動的な締めくくりとなりました。リチャードの語る思い出話と共に、カレンの音楽が再び日本のファンの心に深く響いた瞬間でした。

このテレビ番組が放送されてから11年後の1995年、番組名である「さよならカーペンターズ」とは裏腹に、テレビ・ドラマでカーペンターズの楽曲「青春の輝き」が起用され、再び日本で爆発的にカーペンターズが注目されることになるとは、この時誰も知る由がありませんでした。

カレンの遺した音楽の宝物

『ヴォイス・オブ・ザ・ハート(Voice Of The Heart)』は、カレンの遺した作品を通じて、彼女の才能と音楽への情熱を再確認できるアルバムです。彼女の美しい声とリチャードの優れたアレンジが詰まったこのアルバムは、ファンにとってはかけがえのない宝物となっています。カレンの功績を讃えるこのアルバムを聴くことで、彼女の音楽が今なお多くの人々の心に響き続けていることを実感することができるでしょう。

裏面に刻まれた、最愛の妹への言葉

アルバムのジャケット裏面には、リチャードからカレンへの想いを綴った、短くも痛切なメッセージが添えられています。

そこには、14年間にわたり共に歩んできた妹への深い愛と、彼女が遺した音楽への誇りが綴られています。特に、カレンの歌声を "heaven-sent"(天からの授かりもの)と表現し、彼女を失った喪失感を認めつつも、"take comfort in the marvelous legacy she left us all"(彼女が遺してくれた素晴らしい遺産に慰めを見出すことができる)と結んだ一節には、リチャードの悲しみと救いが凝縮されています。

この言葉を読み、改めてアルバムを聴き返すと、一音一音がリチャードによっていかに大切に磨き上げられたものであるかを、より深く、静かに感じ取ることができるはずです。

このアルバムからのシングル・カット

  • 遠い初恋
    (1983年101位)

  • ユア・ベイビー
    (1984年アダルト・コンテンポラリー・チャート12位)

著者コレクション

カスタムインナースリーヴ有

A&M SP04954A ES1
A&M SP04954B ES1

半透明盤紫、カスタムインナースリーヴ有

A&M SP04954-M1 MR△26253
A&M SP04954B-M1

半透明盤紫、ハイプステッカー、カスタムインナースリーヴ有、ゴールドスタンプ

A&MSP04954A-M1 MR△26253
A&MSP04954B-M2

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曲目リスト

* 曲目は初回盤に基づいて表記しています。
* シングル・チャートは特に記載がない限り、ビルボード・ホット100を参照しています。

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村田 博幸
Hiroyuki Murata
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