タイム

Time

  • 初回発売日:
    1987年10月11日

  • レーベル:
    A&M

  • プロデュース:
    リチャード・カーペンター

カレンの急逝後に発表されたリチャードによる初のアルバム

1987年に発表された『タイム』は、リチャード・カーペンターにとって初のソロ・アルバムです。このアルバムは、カーペンターズとしての長い活動を経たリチャードが、ソロとして新たな一歩を踏み出した作品として注目されています。カーペンターズの繊細で美しいサウンドを彷彿とさせつつ、リチャード独自の音楽スタイルや才能が発揮されています。『タイム』は、彼の作曲家、編曲家としての能力だけでなく、多彩なゲストアーティストの参加によって、より豊かな作品に仕上がっています。

アルバムの背景と制作

『タイム』の制作は、1983年にカレン・カーペンターが亡くなった後、リチャードが音楽活動を再開した時期に行われました。カレンの喪失という大きな悲しみを乗り越え、リチャードは自身の音楽的ルーツを探求しつつ、新たな方向性を模索しました。このアルバムは、彼にとって音楽的な再出発の象徴でもありました。1980年代後半の音楽トレンドを取り入れつつ、彼独自のメロディセンスとアレンジが光る楽曲が詰まっています。

制作には、A&Mレコードの協力のもと、ロサンゼルスの複数のスタジオで録音が行われました。リチャードはプロデューサーとしての役割を果たし、様々なゲストアーティストを迎えたことで、多様な音楽的要素が詰まったアルバムとなっています。

参加したゲスト・アーティスト

『タイム』では、いくつかの楽曲で有名なゲスト・アーティストが参加しており、それがアルバムに独自の味わいを加えています。特に注目すべきは、ダスティ・スプリングフィールドとのコラボレーションです。彼女がボーカルを務めた「サムシング・イン・ユア・アイズ(Something in Your Eyes)」は、アルバムの中でも特に評価が高い楽曲です。この曲は、スプリングフィールドのエモーショナルな歌唱がリチャードの繊細なメロディと見事に調和し、アルバムのハイライトとなっています。

さらに、ディオンヌ・ワーウィックも「イン・ラヴ・アローン(In Love Alone)」でリチャードと共演しており、彼女のソウルフルな歌声がアルバムにさらなる深みを与えています。このように、リチャードはソロプロジェクトでありながら、多彩なゲストアーティストの力を借りて、アルバム全体を豊かな音楽体験に仕上げています。

アルバムに収録された楽曲

『タイム』は全10曲から成り立ち、それぞれ異なる音楽的スタイルが取り入れられています。アルバムのオープニングを飾る「セイ・イエー!(Say Yeah!)」は、リチャードのエネルギッシュなピアノ演奏が際立つ楽曲で、明るいポップなサウンドが特徴です。一方で、彼の妻メアリーがコーラスを担当した「フー・ドゥ・ユー・ラヴ(Who Do You Love?)」は、リチャードのソフトロックの要素を前面に出した優しい曲調が印象的です。

また、カレン・カーペンターへの想いを込めた「過ぎ去りし時(カレンに捧げて)(When Time Was All We Had)」は、特に感動的な楽曲で、彼の個人的な感情が色濃く反映されています。この曲は、カレンとの思い出を歌ったバラードであり、アルバム全体に深い感動を与える瞬間です。

「過ぎ去りし時(カレンに捧げて)
(When Time Was All We Had)」

では、ここでこの曲について少しだけ触れておきたいと思います。

「過ぎ去りし時(カレンに捧げて)(When Time Was All We Had)」は、亡き妹カレンへの想いを綴ったバラードであり、リチャードが彼女との思い出を回想し、彼の心情を素直に表現した楽曲です。シンプルなピアノの旋律と、リチャードの静かな歌声が聴く者の心に深く響きます。カレンを失った悲しみを乗り越え、彼が音楽に立ち戻るまでの過程がこの曲に象徴されています。

音楽的再出発とその魅力

リチャード・カーペンターのアルバム『タイム』は、彼にとって音楽的な再出発を象徴する作品であり、1987年のリリース以来、多くのファンに愛されています。このアルバムでは、彼のソロアーティストとしての才能が発揮され、さまざまなゲストアーティストとのコラボレーションがアルバム全体を豊かにしています。カーペンターズ時代の音楽的遺産を引き継ぎながら、新しい挑戦を続けたリチャード・カーペンターの努力が詰まった作品と言えるでしょう。

このアルバムからのシングル・カット

  • サムシン・イン・ユア・アイズ

曲目リスト

* 曲目は初回盤に基づいて表記しています。

村田 博幸
Hiroyuki Murata
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